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Foxryo's Note Pad

 


【高知やりがい創造フォーラム2015】 
目的が定かなら実現する方法は自分の中から湧いてくる

日時: 2015年 8月22日(土)12:30〜16:30
場所: 高新RKCホール

第1部 横田さん講演第2部 鍵山さん講演 | 第3部 パネルおまけ |
|過去のレポート:高知本氣フォーラム2008

【第1部】目的と目標
 横田英毅さん(ネッツトヨタ南国 相談役)

  • 目的と目標
    この2つを明確に区別して理解することが必要。
    目的は「追求」するもの、目標は「達成」するもの。
    その結果得られるものは、「幸せ」と「満足」。

     目標(手段)  目的(利他)
     達成するもの
     ex) ゴール、ターゲット
     追求するもの
     ex)  志、理念
     満足  幸せ



    目的・幸せ、目標・満足のどちらも手にするにはどうすればいいのか。

    目標達成しなくても、目的がある。目的を追求するために目標を再設定すればいい。
    たとえばイチロー選手。プロとして勝つことが目標ではない。目的はプロとして何を見せるか。

    「より高く」と思った人だけが高い場所へ辿り着ける。
    まさに鍵山さんの言われる「目的が定かなら、実現する方法は自分の中から湧いてくる」ということ。
    「どうせ無理」をなくせば、いじめや暴力、戦争はなくなる。

  • 一番大切なことは、一番大切なことを、一番大切にすること
    「私は実践しています」と言う人に問いかける。
    「どうやって実践していますか?」「では、1週間以内にどう実践しましたか?」「1か月では?」「向こう一年では?」

    たとえば「家族」が大事という人は「家に帰っている」という答えしか返ってこなかった。具体的な行動が出てこない。つまり、大切だけど、やれていない。

  • 「目的=働きがい=幸せ」を生み出す。
    マズローの5段階欲求説5段階の下から2つ(モノ、カネ)は「Wants」、上から3つ(精神的なもので見えにくい)は「Needs」。
    だからこそ、問題「対処」ではなく問題「解決」を。
    目に見える大きな問題のうしろに、目に見えづらい小さな問題が潜んでいる。

    そのために、「顧客満足(CS)よりもお客様の幸せ(CH:ハピネス)、
    社員満足(ES)よりも社員の幸せ(EH)」を追求していく。

  • 労働条件の満足(待遇:給料、残業、休日など)と幸せ(ココロ:所属する組織に対する誇り)

    働きがいを高めるものとは、成長、企画、自由に言える、明確な評価、コミュニケーション・チームワーク、目的と計画がある、仕事の最初から最後まで関わりが持てること、etc。

  • 会社の幸せは、売り手、買い手、世間の交わるところと言われる。
    では働く人の幸せ(生きがい)は?

    以下のURLの一番下にあるベン図がしっくりくる。

    大好き、世間のニーズ、稼げる、得意。それら4つの丸が重なりあうところに、使命、情熱、天職、職業があり、一番コアで重なるところが生きがいである、という図。

    http://giantech.jp/2015/06/04/what-origin-is-the-purpose-diagram/

  • 「知る」と「気づく」の違い。
    知る:知識・理解
    気づく:体得、会得

    知識だけでは気づきは得られない。鍵山さんの掃除の意味がそこにある。

 

【第2部】掃除実践60年 人生と生き方
 鍵山 秀三郎さん(イエローハット創業者 日本を美しくする会 相談役)

東京生まれで11歳までは安定した生活を送っていた。11歳で山梨へ学童疎開。その後、空襲で家が焼け、家族全員で岐阜へ疎開。農業で鍛えられた。そして、20歳で一人東京へ。

お金がない、技能がない。何もないのを武器にした。何もないから、我慢したし、工夫した。 環境に対応する力は農業から学んでいた。

予期せぬことも嘆くことはない。飛躍できる。
すさまじい会社に鍛えられた。能力を上回ることを要求されたが、飛躍できたし、成長できた。何もしなかったら意気地のない人生を送ることになる。

今不可能で、「できない、難しい」と思っていることは、今できないだけ。工夫と努力でできるようになる。

「いかなる教育も逆境から学んだものにはかなわない」

 by ベンジャミン ディズレーリ
自分の考え次第で、成長できる。

昭和36年10月。独立し、自転車で行商を始めた。まさに自転車創業(笑)
行商先では人間扱いされず、2度、3度いくと水を掛けられたり、自転車を倒されたりした。忍耐心がついた。

昭和51年、売り上げは51億。しかし6割の取引を停止した。業界の常識を変えたいと思った。今は良くても、いずれつぶれる。つぶされるより、つぶした方がいいと思った。

飛躍は覚悟から生まれる。

そして、お客様から「欲しい!」と言われる商品が生まれ、大ヒット商品となった。

何も決心のない人生に、何かを得られることはない。覚悟、決断、実行が大事。

車屋で働いていたころ、店は汚いし、働いている人の口も粗暴。経営者から「掃除をしたって儲からない」と言われていたが、一人で掃除していた。お店に買い物に来る職工さんもツナギは油だらけで、素足にサンダルといういでたちだった。それが次第に態度が変わっていった。すると、歌手やスポーツ選手がやってきて繁盛するようになった。気を良くした経営者はやりたいことをやらせてくれた。

ところが、雪が降ると値段が10倍、20倍になる商品があり、定価で売ろうと提案したときは反対された。「みんなやってる。」これが独立のきっかけとなった。

売上ではなく、業界の悪しき習慣を変えるんだ。お客さんがいつきても同じ値段で売ろう。業界をもっときれいにしたい。手形を発行せず、現金支払いにすることにも着手した。今業界内で手形を発行する会社はない。

今はできないが、未来永劫できないわけじゃない。


掃除も笑われた。

費用      対    効果
労働(努力) 対    成果
これをすぐ考えるから、掃除がわからない。
将来よくなるのはわかっていてもやらない。それで反対・抵抗する。

成功までの3段階。

  1.笑いものにされる
  2.激しい抵抗と反対を受ける
  3.(成功したのを見て)そんなことは分かっていた


   by アルトゥール・ショウペンハウエル(ドイツ哲学者)
掃除も何もないところからスタートして、いま、ルーマニアや台湾、サンパウロなど海外副目130カ所に「掃除で美しくする会」がある。


一昨年甲子園に出た前橋育英高校。どうせ1回戦で負けると言われ、1回戦は誰も来なかったが優勝した。 18年前に監督が道具を大事に磨き、トイレ掃除をさせていた。 「そんなことをしているから勝てないんだ。勝つ野球を教えろ」と言われていた。「3年以内に甲子園に行かなければ首だ」「監督は頑固で古臭い」といっていたのが、甲子園で優勝した途端、「指導方針がしっかりしている」「信念がある」という。人の評価とはそんなもの。

正しいこと、いいことをやればやるほど反対する。勇気をもって、行動してほしい。

ある時「人が見ているからやれません。どうしたらいいでしょう」とご婦人がいうので、こう答えた。

 「あなたのことは誰も見ていません。大丈夫です」

本当にいいと思ったことが何故できないのか。

「0から1への距離は、1から1,000までの距離より遠い」

 by ユダヤ人のことば
やらないうちはゼロ。どんないい考えをもっていてもゼロ。行動していないからゼロ。

「人間が、今日一日、穏やかな気持ちになるか、荒れた気持ちになるかは、
 将来の大事件のせいではない。
 日常の小さなことが思い通りになったか、ならないかで決まる」


 by ラ・ロシュフコー
たとえば、タクシーの乗車距離が1メーターのとき、運転手さんに700円のところ、1000円渡して“お釣りはいらないよ”という。すると、それまで無言だった運転手さんが急に笑顔で話し始めたりする(笑)。 自分が降りた後に運転が粗くなるより、運転手さんが気分がよくなって、次のお客さんに気持ち良く対応してほしい。

いいと思ったことは勇気を持って行動する。人の心を荒ませることを少しでも減らしたい。悪の連鎖を断ち切る。いいことが起こる種まきをしていきたい。

大正時代の日本人も素晴らしかった。アートスミスというサーカスが日本に興業にきたとき、飛行機の曲芸があった。それを近所で見ていた人が3人「あんなすごいものをタダで見てしまっては申し訳ない。」と入場料をわざわざ払いに来た。「世界各地を回っているが、こんなことは初めてだ!」と称賛されたという。

モースやエジソン、チャップリンも日本人を称賛していた。日本の伝統、民族性を次の世代につなぐ使命が我々にはある。

【第3部】パネルディスカッション 生きる目的と豊かな人生
 鍵山 秀三郎さん×横田 英毅さん×中澤 清一さん(四国管財社長)
 コーディネーター 鬼澤 慎人さん
*以下、敬称略
鬼澤
できるまでやる、その忍耐力はどうやって培われたのか
鍵山
待てるんだろうね。どうして待てるようになったかというと2つある。一つは少年時代、農業で「待つ」ということを体得した。もう一つは「最善」を尽くすということ。自分、会社、社会にとっていいこと。自分が大事だと思うことに最善を尽くす。
横田
変えられるのは自分と未来。他人は変えられないし、人は変わらない。人を変えるのは環境や風土。風土を変えるのはリーダーである自分。十分な環境を整えられていないのは全部自分のせい。原因は自分。なるようにしかならない。たとえば“さん”づけにして、肩書で呼ばないようにするのも35年間、そういわずに待っている。まだ半分くらいかな。
中澤
社長がそこまでやるってことだと思う。
鬼澤
人財育成で大切にしておられることは?
鍵山
どんな大きな失敗をしても叱らない。ただ、小さなことでも怠れば周りが迷惑するのを知っていてやる場合は叱る。たとえば、台所の布巾で手を拭くといったこと。
失敗はやろうとしてやったわけじゃない。社命であれば社員が責任をとれるわけじゃない。
横田
「人の成長」と「知識が増える」を分けること。知識は「あーしなさい、こうしなさい」でついていく。一方、人としての成長は自分で編み出す、わいてくるもの。
鬼澤
知識、体力、徳力が大事なわけですね。最近の学校教育についてはどうでしょう。
中澤
先生、校長、教育委員会、政治、有識者、経営者、みんな良くしようと努力している。大人たちが夢は叶わないと思っている。
鍵山
制度ができる、制度が増える、それが問題。それよりも、自分で考えて判断できるようにすることが重要。学校の校則は意見書。校則にはあなたがなりなさい。誰かが破る。指導者が模範を生きること。会社も同じ。誰も会社の定款を知らない。
横田
工夫が大事。何かうまくいかない時、何故できないかを考える。発見すべき問題を発見し、アプローチする。見えざる問題を見つける。話せたら国語はできる、と思うのは間違い。言葉を正確に認識して、違いを考えて物事を考える。でないと行動がちぐはぐになる。言葉は軸となる。
鬼澤
頑張るということができなくなっているように感じる。
鍵山
長く続かない、むくれるということはある。単純なことでも意義を見出す。一本の草をとるにも意義を感じる。草の生え方も1本1本違うから抜き方も違う。ただ手を動かしているだけでは、意義も価値もない。意義があって価値があると思ってやるから、できる。1つ1つに意義、価値を見出している。

目的とは、いいこと、大事なこと。

問題が未解決のまま、解決方法や手段が見つからない。それは、問題が分からずやっているから解決に結びつかない。
先に、問題は何かを見つける。そしたら解決ができる。苦難にも意義を見つけることで、次の飛躍につながる。
鬼澤
何故、鍵山さんはそう思えるのか。
鍵山
大きな草を抜くより、小さい草を抜く方が、意義がある。それはやがて大きくなる。また、掃除するときは、隅から綺麗にする。
鬼澤
てっとり早くではなく、小さなことを積み上げるということですね。目に見えるものは、手っ取り早い・・・。
横田
小さなことをやり続けることが唯一の方法。自分が仕事を好きになる。人がやらないことをやる。
鬼澤
認められたい、褒められたい。しかし、存在そのものは褒められない。行為を褒める。結果を出さないと褒められない。それを確かめるためにあえて変なことをする。
鍵山
これをやったらどう? 自分が心配? どっちを主にして判断するの? と社員は見ている。好都合と幸せは違う。目の前の都合がいい方が幸せではない。
横田
何を大事にするか。大人に対して「叱る」は使わない。「褒める」は上から目線。褒めたらしらける。だから褒めない。褒める、叱るは外からの動機付け。自分からにならない。誰かが見ていなくてもこれが大事、という社員集団を作りたい。
中澤
褒めるは結果。仕事はねぎらう。社員が挑戦しやすいかどうかは、経営者次第。永く続く、三井、住友は「してはいけないこと」を家訓にしている。
鬼澤
理念浸透で大切なことは?
鍵山
経営者がどういう会社にしたいか。どういう社員がいっぱいになってほしいのか。それに向けて行動している。
横田
社員の幸せと業績、どっちが大事? アンケートをとると、社員はお客様の幸せが大事という。CSがESにつながる。
中澤
社員の家族から「あの会社、いいよ」と言われたい。方向、軸を決めて15年。一歩さえ出れば、体感できる。
鬼澤
最後に、パネルディスカッションテーマの「生きる目的おきゃくさまと豊かな人生」については?
鍵山
目標は大きく持ってほしい。すぐ手が届かない、簡単に手に入らない目標を設定する。簡単なことから始めるのではなく、進むときは小さなことから取り組んでいく。
横田
満足を追い求めず幸せを手に入れる。満足に軸足を置くと幸せが遠ざかる。たとえば、美味しいものを食べるという満足を続けると身体を壊す。それで幸せも壊す。そして好きなものを食べられる満足さえもなくす。つまり満足要因を追い求めると幸せも遠ざかる。満足もなくなる。
風土づくりでやりがいを高める。社員の幸せ、お客様の幸せを追求するには、見えにくいものが大切。そしてそれを数値化して見る工夫をする。
中澤
いまGKH(Gross Kochi Happiness)の向上に取り組んでいる。高知のステキを経済界から発信したい。
鬼澤
目的が定かなら実現する方法は自分の中から湧いてくる。それは、自分が生まれてきた役割を果たすこと。それが、やりがい、生きがいとなり、豊かな人生につながっていく。



講演録は、これで完了デス。このあと横田さん、鍵山さんのエピソードや高知の旅の様子も、続きます♪

おまけ
■横田さん、鍵山さんのエピソード ■高知あれこれ

映画「陽気楼」の舞台

電話室 フォーラム後、JCの皆さんの打ち上げ会にお邪魔させていただきました。場所は映画「陽気楼」の舞台となった「得月楼」。

横田相談役、別府さんご夫妻はじめ、皆さんと交流でき、とても楽しかったです。お店の方もとても親切で、滅多に入れないところまで案内いただきました。

とってもレトロな電話室まであり、明治の風情を感じるお店です。

得月楼玄関 渋い照明
室内お庭

大皿料理を仲居さんがとりわけてくださったり、みんな思い思いにお皿にとったり、いろいろ。
初めて食べたお料理が結構たくさんありました。一つはパプリカのお寿司! ほんとにパプリカでした。高知はたくさん採れるのかも。

パプリカのお寿司 豚肉のシャブシャブサラダ

しめのソーメン 豚肉のシャブシャブは豚肉が何層にも丸めてあって面白かったし、シメの鯛ソーメンが(おそらく)アゴダシが効いていてすごく深みのある味になっていました。
高知の方は皆さんお酒が強く、とっても明るく、楽しい時間を過ごさせていただきました。感謝感謝です。


翌朝は、日曜市を散策して、ひろめ市場の中でうどんをいただきました。そうそう、お土産に、金魚Tシャツ買ったんですよ。高知は服の色が和テイスト。あのあたりが観光地だからかもしれませんがw デザインも渋くて一本筋が通っているカンジ。

高知城 日曜市
ひろめ市場と讃岐うどん金魚Tシャツ

そして、高知ともお別れの時間。路面電車に乗って高知駅へ。ちょうど私たちの乗った路面電車の車両が、名鉄電車のお下がりだったのでビックリ。もうこういう電車はつくられていないのか、路面電車を廃止したところから車両を集めているようです。

そして、ランチはフラれまくって、結局駅のパン屋さんでw

でもここの栗のデニッシュ、とってもサクサクで気に入りました。高知は人も天気もお料理も、とてもノビノビしています。高知、いいなぁ。

市電栗のデニッシュ

* お * し * ま * い *


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